TELECがこれまで実施してきた無線設備の試験認証技術に関する主な調査・研究開発プロジェクトは以下のとおりです。
背景 | 従来、小型無線機器の放射波の測定は電波暗室で行われていますが、電波暗室を用意できないことが多く、簡易な測定環境下でも、電波暗室での放射電力測定と同等な測定を可能とする測定方法の確立が必要とされています。 |
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対象 | 基本周波数2〜12GHz帯のアンテナ一体型の小型無線機器。 |
内容 | 比較的に狭く、電波吸収体の設置が困難な測定環境下で、周囲散乱波による不確かさを約1.0dB以下に抑えて測定できるようにするために、小型・高性能化した測定用広帯域アンテナ、天井・床・壁面からの散乱波の影響を低減できる信号処理機能を備えた放射波測定装置などの研究開発を行いました。測定系は測定用広帯域アンテナおよび放射波測定装置で構成され、波源の位置情報を利用して、散乱波の影響を抑圧して直接波を抽出できる位相合成測定法を開発しました。この位相合成測定法では、送受信アンテナ間の距離を少しずつ変化させて、受信波の振幅と位相を測定します。距離の異なる複数の受信波について、距離の変化に相当する分だけ位相を補正して合成することにより、直接波については同相で重ね合わせ合成されるので振幅が増大し、散乱波については、位相がばらばらであるため、その影響が相殺されて抑圧され、本来測定したい直接波成分を良好な条件で測定できることを確認しました。 |
背景 | 広い周波数帯域や特殊な変調方式を使用する無線設備から空間に放射される電波を高精度で効率的に測定できる技術や、証明機関間の測定結果のバラつきを無くすため測定の不確かさの概念の導入が必要となっていました。 |
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対象 | 基本周波数5GHzまで、スプリアス26GHzまでの無線LAN設備。 |
内容 | 全球面放射パターン測定装置により無線LAN信号発生器内蔵のノートPC型試験用擬似無線装置のEIRPとTRPを26GHzまで測定できることを確認しました。反射板付き部分球面全放射電力測定装置により2.412GHz及び5.18GHzのTRPを測定できることを確認しました。これにより測定速度が従来方法と比べ1/4になりました。最大周波数26GHzまでのスプリアス測定については、RCS測定法により測定空間の電界リップルを改善しました。1GHz〜26GHzの空間に放射される電波の測定精度については、不確かさで表すよう不確かさ算出のためのガイドラインを作成しました。 |
背景 | 多様化する特定無線設備に対する高周波電力等を高精度で効率的に行う測定技術や、試験結果を公平に評価する方法等を確立する必要性が高まりました。 |
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対象 | 電子機器等に内蔵された無線設備。 |
内容 | 電子機器等に内蔵された無線設備の高周波電力測定技術については、電波暗室内で全球面放射パターン測定装置により、試作したPC内蔵型無線設備の最大実効輻射電力を垂直と水平方向で測定し、評価結果をまとめました。測定の不確かさ評価については、国内外の動向を調査するとともに不確かさ算出手順の基本的事項をまとめました。また、試験所間比較試験の目的、実施方法、測定結果の評価方法等をまとめました。 |
背景 | アンテナ端子を持たないアンテナ一体型無線機器が増え、直接アンテナから輻射される電力を測定する放射測定法が提案されましたが、測定が複雑で長時間を要しかつ費用負担も莫大であるため、高精度で簡便且つ安価な測定方法が必要でした。 |
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対象 | 800MHz帯から準マイクロ波帯で使用するハンディサイズのアンテナ一体型無線設備。 |
内容 | 電波暗室での全球面放射パターン測定装置、小型電波暗箱、GTEMセルの3つの測定装置に焦点を絞って測定空間の電界変動と試験用擬似無線装置の最大実効輻射電力を測定し、測定空間、測定精度、測定時間などを加味して比較したところ、小型電波暗箱が優位となりました。どちらの方式も一長一短がありますので、この結果と共に改善点をまとめました。 |